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旧軍人対旧内務官僚の暗闘を胚胎
軍隊ではない、けれども実質は軍隊
歴代トップから追う自衛隊の歴史

『防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史』
辻田真佐憲 朝日新書

 自衛隊については、ほとんど何も知らなかった。知る必要もなかったし、興味もなかった。それでも話題になった守屋武昌防衛次官については彼の著書の『「普天間」交渉秘録』と『狡猾の人』(森功)を読んだ。あとは田母神俊雄航空幕僚長の話題の“論文”にあきれ返ったことくらいである。これでは、何も知らないのと同じだ。本書を読むまで、自衛隊の階級名すらよく分からなかった。

 だが、何のことはない、旧軍の階級名を少し変えただけであった。将官・佐官・尉官・曹(下士官)・士(兵)の五階級に分け、さらにそれぞれ三階級に分けるのを、大・中・少ではなく一等・二等・三等をとしただけであった。ただし、一番上の将官は、陸大将とか海大将、空大将などとするのを避けて、それぞれ幕僚長、将、将補とした。あとは一番下の「兵」を「士」と変えたくらいである。例えば、陸軍一等兵は一等陸士となる。

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