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[社名は今も変わらず]アミノ酸関連の技術を多岐にわたる事業に応用展開 プリンシプルを変えず過去最高益更新する味の素


「味の素」は味の素だけではなく経営の素
多岐の事業に応用展開するという
経営スタイル貫徹

 「名門企業、復活!」と言うと、思い当たるのはソニーグループか。日本の電機セクターが総崩れするきっかけとなった2003年の「ソニーショック」から、今年で20年。同社の2023年3月期業績は、売上高が前年比16.3%増の11兆5398億円、本業の儲けを示す営業利益は同0.5%増の1兆2082億円となり、売上高、営業利益ともに過去最高を叩き出した。

 売上高が10兆円の大台を超えたのは初めてで、電機セクターという括りでも、日立製作所が2008年3月期に記録した売上高11兆2267億円を上回った。音楽事業が堅調だったほか、世界トップシェアを誇るイメージセンサー(固体撮像素子=CMOS)の好調が業績を牽引した。

 株価も1年前より4割近く上昇し、時価総額は同じ電機セクターのキーエンスを抜き、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループに次ぐ3位に付けている。一連の軌跡を振り返るに付け、経営がどんなに迷走しようとも、企業自体が宿す潜在力が棄損せず、市場と上手くシンクロさえすれば、V字回復は不可能ではないのだという思いに至る。

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