NEW LEADER LIBRARY(`22/9)

今の彼をどうとらえるかは人によるだろう
しかし、何かが違うと思うのはいけないことか
凡人では理解を超える金持ち息子の放蕩

『熔ける 再び そして会社も失った』
(井川意高 幻冬舎)

 著者は元大王製紙会長。創業家の3代目で、大王製紙会長時代にカジノに嵌まり、グループ企業から借用という形で巨額の金を引き出して106億8000万円も注ぎ込み、グループ企業各社に損害を与えた。著者は保有する株式による代物弁済で借用した資金を返済しようとしたのだが、会社側から現金で返せと拒否され、2011年11月、特別背任で逮捕されてしまい、4年の実刑判決を食らった。会社側が代物弁済を受け入れれば、刑事事件にはならなかっただろう。

 著者は、社長S(本書では実名)の創業家追放戦略で、実刑に追い込まれたと本書の六章でその追放劇を描いている。ま、S社長にすればギャンブル依存症でアルコール依存症でもある著者が会長で、その上に役員たちを子ども扱いする大王製紙中興の祖の父親が顧問としていては、井川親子もろとも追い出したくはなるだろう。

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