“歴史的な”広島サミットで唯一、語られなかったこと 英国は“社会崩壊”寸前、サンフランシスコの空室率が急上昇 米国に戻るブーメラン、サムスンが初のストライキ突入?
まるで「世界政府」だが
中国は消えてくれない
岸田政権が「歴史的なサミット」と自画自賛する広島サミット。本当のところ、海外メディアはどう見たのか。フィナンシャルタイムズ(FT)紙の大御所的なコラムニスト、マーチン・ウルフが率直に表明している。
曰く、「G7は世界を運営できないことを認めねばならない」(5月23日付)。
現在の世界を覆っているのは、分断と無秩序だ。ところが、広島サミットは恐ろしいほどの大風呂敷を広げた。議題を並べてみよう。ウクライナ問題、軍縮と核不拡散、開かれたインド太平洋、世界経済の行方、気候変動とエネルギー問題、食糧安保、労働・教育・科学とテクノロジー、人権と難民問題、エトセトラ・エトセトラ。
1万9000語の共同声明は、あたかも「世界政府」の樹立宣言のようである。2009年にロンドンで開かれたG20サミットの共同声明はわずか3000語だ。焦点の定まらない願望をだらだら述べることがいかに無益か。すべてが最優先ということは、何ものも即座には実行しないことを意味している。
ウルフによれば、G7サミットの問題は、米国“一強”時代、G7が世界経済を主導した時代がともに過去のものになってしまったことを認めない点にある。