米価下落、危機に立つ「唯一自給可能な」コメ作り なぜ余剰食材を食に窮する人々に回さない?

先進国最低の食料自給率の中で
主食であるコメ生産にも“赤信号”

 日本農業の屋台骨を支えるコメ作りが今、重大な危機に直面している。2021年産米の概算金(JAグループがコメを集荷する際、農家に支払う一時金)の暴落で、農家の生産維持が困難になっているためだ。長期化する新型コロナウイルス禍で、外食向け需要の大幅減少、困窮家庭での消費落ち込みなどによって、民間在庫とりわけ業務用米の民間在庫が過剰になっていることが、背景にある。政府の旗振りの下、「企業化」を図ってきた大規模農家ほど、経営への打撃が深刻になっている。米価が暴落した2014年産米の下落幅を上回る地域も多い。

ここから先は

2,345字
この記事のみ ¥ 200