国際競争力はこのまま低下の一途か 東証が直面する5つの「難題」

🔻実効性に疑問の市場区分と指数改革
  システム障害後の信頼回復も多難

 東京が国際金融センターとして成長するためには、中核となる証券取引所の活性化も重要なカギとなる。日本経済の停滞とともに東京市場の国際競争力低下が指摘される中、東京証券取引所もそれなりの危機感を持って改革に取り組んでいる。が、迷走感は否めず、前途多難としか言いようがない。東証が直面する難題を以下に挙げてみよう。

 第1に「東証再編」問題である。東証は来年4月、「東証1部」「東証2部」「マザーズ」「ジャスダック」という4市場を、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する。市場区分の再編とともに、TOPIXなど株価指数の見直しも進めている。

 市場区分については、最上位のプライム市場の創設が目玉となる。東証1部からプライムに移行するには、流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上などの基準適合が条件。現状では3割近くが未達と見られ、基準適合のためには大株主の保有株売却などを進める必要がある。ただ「当分の間」は経過措置として、基準適合に向けた計画書を提出すれば極めて緩い基準でプライムに移行できる。「当分の間」も期間は明確ではない。

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