見切り発車で動き出した 原発汚染水の海洋放出、後悔は長く続く

どうして国と東電を信じられようか
打ち砕かれる完全操業の願い

 今年4月に東京電力福島第一発電所の原発汚染水の放出を決定した政府が、2023年の強行実施に向けて始動し始めた。8月には、「風評対策」として、福島県産の農水産物の買い上げ策を打ち出した。また、東京電力は、汚染処理水を沖合約1㎞の海底から流す「沖合案」を発表。さらに来日した国際原子力機関(IAEA)の調査団が日本政府との協議の結果、12月から安全性の評価を行うことが決まった。

 政府はIAEAからの「お墨付け」を得て、反対する漁業者・自治体、周辺国に対し、理解を求める考えだ。しかし、海洋放出の正当性を丁寧に説明することもせず、過去に幾度となく虚偽の発表・報告を繰り返してきた国と東電だけに、漁業関係者だけでなく、多くの国民、周辺諸国・地域から強い批判が巻き起こっている。

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