優れた「デザイン」で若者を取り込む 北海道上川町「KAMIKAWORK」の挑戦

大雪山という町のシンボルを生かした
町づくりを考える大学

 「地域おこし」を成功させるのは、「よそ者」「若者」「ばか者」と言われる。だが、この3つが揃っている地域は稀だ。彼らを呼び寄せるところから「地域おこし」が始まる町もある。「ばか者」はともかく、「よそ者」と「若者」を集めるのには、何が一番効果的なのか?その「答え」が北海道にあった。

 北海道上川町は豊かな自然と観光資源に恵まれた町だ。大雪山系黒岳への登山口には、北海道の名湯として知られる層雲峡温泉がある。「上川ラーメン」は、全国のラーメン通を唸らせる「ご当地グルメ」になった。だが、現実は厳しい。上川町の人口はピークだった1960年の1万5289人から減少が続き、今年6月には3365人と5分の1近くに激減している。いくら観光地やご当地グルメで知名度が高くても、人口減少に歯止めがかからないようでは衰退する一方だ。何とか人口減を食い止め、地域の活力を取り戻すことができないか?1人の若者が上川町の「地域おこし」に立ち上がる。

 若者の名は上川町職員の三谷航平。北海道枝幸町出身で、北海道教育大学卒業後に上川町役場に就職。早くから地域おこしに参画し、2017年に「大雪山大学」の立ち上げに関わった。同大学は大雪山を大学キャンパスに見立て、「山に学び、山で学ぶ」をコンセプトに「地域を面白くしていく」試みだ。単なるイベントではない。大雪山という町のシンボルを生かした町づくりを考える場所である。

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