「謝ればいい」のが日本流?! 不祥事VS謝罪会見

森辞任で思い出す雪印事件
名門企業さえ消えた

 まず右の表をご覧いただきたい。誰もが記憶しているであろう不祥事とその謝罪会見をピックアップした。芸能人の不倫などは除外したが、これらの不祥事と謝罪会見は日本社会の縮図だと筆者らは考えている。

 知らない若い世代向けに説明を補足すると、雪印乳業(当時)の集団食中毒事件は20年以上前の事件である。事件を受けて行われた謝罪会見がいまも印象に残っている。

 会見を打ち切ろうとする社長に対し、記者たちが会見の延長を求めると、社長は「私は寝ていないんだよ」と発言した。社長が寝ていないのは事実として、それは言い訳に過ぎない。それどころか、苦しんだ被害者がいることを忘れた居直りのように受け止められることを分かっていないこの発言が火に油を注ぐ結果となる。

 寝ていない発言は事件処理能力の欠如ともみなされ、危機管理の当事者である意識に欠けていた。謝罪すべき不祥事を惹き起こした企業の経営者としては落第である。後で社長が辞任するだけでなく、さらには雪印ブランドに大きな傷を与えることになった。

 謝罪会見がきっかけのように雪印グループは苦境に立つ。グループ企業は再編されて、雪印乳業という会社はもうなくなっている。

 雪印事件が思い起こされたのは、最近の森喜朗東京五輪組織委員会元会長の女性軽視発言への釈明会見が似た内容だったからだ。JOCの評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言。国内外で女性蔑視発言として批判が噴出したのだが、さらに森は翌日午後、自らの発言に対する謝罪会見で集中砲火を煽った。

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