「バブル株価」にも影響を及ぼす デジタル課税と最低法人税率論議

🔻米政権の方針転換で7月合意の可能性
  背景にバイデン増税と英仏の見切り発車

 巨大IT企業などの税金逃れを正すための国際的なデジタル課税と最低法人税率の導入をめぐる議論が、米国の政権交代を経て大きく動き出している。7月中がメドとされる合意の内容次第で「GAFA」など米IT大手の利益や株価にも大きな影響が及びかねず、市場参加者は注意を要する。

 既存の法人税は店舗や工場などの有形資産(物理的拠点)から発生した利益を主な対象としており、SNSや検索エンジンをはじめとしたデジタルプラットフォームなど無形資産から発生した利益を捉え切れていない。

 しかも、巨大IT企業は世界各国で上げた利益を低税率国やタックスヘイブン(租税回避地)のグループ企業へ移転し、全体の税負担を減らしている。一部の調査によれば、GAFA4社の法人税等の税負担率は2018~20年平均で約15%と、世界平均の約25%を大幅に下回る(日本企業の平均は約28%)。

 国境を越えてやり取りされるデータが巨大な富を生む今日、デジタル経済に対応した公正な課税ルールづくりが重要な課題だ。2012年から経済協力開発機構(OECD)やG20を中心に検討されてきた。ただ、昨年までは米トランプ政権が新ルール導入に消極姿勢を続け、国際的合意は困難との見方が多かった。

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