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中国残留孤児2世たちの不良グループ  残留孤児ではない主人公がなぜ日本で 人格破壊と洗脳の更生手順からの脱出

『怒羅権(ドラゴン)と私』 汪ワンナン楠 著(彩図社)

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 怒羅権(ドラゴン)というのは、中国残留孤児の2世たちが作った不良グループで、土地のヤンキーや暴走族から身を守るために自然発生的にできたのだそうだ。ただし、やられたらやり返すという抗争を続けているうちに、犯罪に手を染め、暴力団とも親しくなり、恐れられる半グレ集団になっていったという。

 著者は創設期のメンバーだが、残留孤児ではない。実の両親とも中国人で父親は医師、親類縁者はみな大学を出ている裕福なインテリ一族だったとのこと。それがなぜ日本で暴力と犯罪に明け暮れる半グレになったかというと、父親が文化大革命に巻き込まれ、部下に密告されて収監されたからだという。その後、父と母は離婚し、父方の祖父母に預けられたが、陰険な祖母にいじめられて反抗し、また喧嘩に明け暮れる問題児となっていた。

 一方、父親は牢獄から解放されると残留孤児1世の女性と再婚し、日本に移住する。そして1986年14歳の誕生日に、父親に「船遊びしよう」と上海に連れていかれ、そのまま神戸に連れてこられ、江戸川区の継母のアパートで暮らすようになったという。

 継母は私費による帰国者で、国からの支援もなく、アパートは4畳半と6畳2間に台所で、そこに父と継母、継母の連れ子、著者とその姉の5人が住んだ。

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