「主権国民国家」とは何か 初心に戻らなければグローバル化の傷は癒えない

「シビックとエスニック」エレメント

 イタリアのルネサンス期の政治思想家マキャヴェリは「世界とは循々と変転して已むことのない動態である。社会、とりわけ国家というものは、興隆しつつあるか、衰亡しつつあるかのいずれかであって、均衡点で静止し続けるということはない」と言った。国家の再生は、「主権国民国家」の力量が問われる。

 主権国民国家という概念は、17世紀のウエストファリア条約以降から出てきた。主権国民国家には2つの要素がある。「シビック・エレメント」(領土の保有、単一の法制度、構成員の法的・政治的平等から構成される)、と「エスニック・エレメント」(家系・血統、歴史、神話、土着の文化、言語、風土、道徳、習慣、共同体意識から構成される)である。この上に、国民が中心になって形成する富を創造する力としての「生産諸力」を持つ。その「生産諸力」は、「分業」と「結合」そして「作業継続」を可能にする制度によって担保される。

 20世紀を代表する思想家ハイエクは、「主権国民国家経済」が成立するのは、国民が目に見えない社会のルールに従って動くからであるとした。そのルールとは、「シビック・エレメント」と「エスニック・エレメント」である。エスニックに基づくいろいろな情報・知識を持った個々人が分業的に結合して「商品」が生産され、ルールを守った上で「自由」と「個人主義」が生まれるとした。

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