ナノテク空気清浄機を開発したのは 小さなクリーンシステム機器メーカー ─コーホー・テクノ─

売上げ急増中の空気清浄機
性能のカギはナノテク素材

 コロナ禍は経済活動に打撃を与える反面、対策関連商品の売上げを後押しする場合もある。伸びた商品の1つが空気清浄機である。花粉の粒、有害ガス、排出物質などを空気から除去して健康リスクを低減する空気清浄機は、近年の健康ブームから人気になっていた。さらに新型コロナ感染症のパンデミックでウイルス対策としての設置も増えている。

 ただ、空気から除去する対象がニオイ、アレルゲン物質、ウイルスでは、それぞれ除去方法も異なる。一般には空気清浄機であれば何でも除去できるわけではなく、その仕組みによって除去物質の得意分野がある。そのすべてに効果的という空気清浄機はまだあまり登場していなかった。

 その中で、ペット・タバコ・家庭のニオイから花粉・カビ菌などアレルゲン物質、さらには細菌・ウイルスまで逃さず除去するとして注目される空気清浄機がある。ナノテク素材の光触媒である酸化チタンをコートしたセラミックフィルターで異物を除去する「光触媒空気清浄機」である。

 その技術のカギとなっている光触媒とは、光を吸収してそのエネルギーを反応物質に与えて化学反応を起こさせるが、その物質自体は変化せずに触媒作用を行う物質のことをいう。反応物質とは、たとえば有機化学物質とかニオイ、細菌、カビ、油汚れなどである。これらは通常では分解されにくいが、光触媒は光を照射することで分解処理が可能だ。

 有機物であれば有害物質でも常温・常圧下で完全分解され、わずかな光でも作用するうえ、光だけあれば作用する。このため光触媒は、空気浄化であるとか抗菌・抗カビ、水処理、外壁・室内でシックハウスの原因となるホルムアルデヒド対策など幅広い分野で急速に活用が進むようになった。

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