【汚名返上への長き闘い】内視鏡世界シェア7割はだてではなかった 治療機器と人材改革に次の未来をかけるオリンパス

地に堕ちたブランドを10年がかりで回復
笹宏行前社長と竹内康雄現社長の手腕

 新型コロナウイルスによる感染拡大の「第8波」の到来を専門家が断言してみたり、政府・日銀による為替介入をせせら笑うように歴史的な円安が進んだりと、先行きが暗い話ばかりが目に付く。だが、そうした中でもきらりと光る現象がないわけではない。一例を挙げれば「名門企業の復活」だ。

 オリンパスといえば、前身の高千穂製作所の設立から数えて今年で創業103年目。第一次世界大戦の勃発によって入手が難しくなったドイツ製の顕微鏡の国産代替化を目指して設立された「百年企業」だ。光学技術を活かしてカメラ製造に乗り出した後、その小型・軽量化に磨きをかけて、1950年に世界で初めて実用的な胃カメラを開発することに成功した。その後も一貫して内視鏡業界でトップの座を続けたが、2011年に会社存亡の危機に直面する。

 いわゆる銀塩フィルムを使うアナログカメラの衰退は2000年前後から急速に進み、この間、同社を含むカメラメーカーは挙ってデジタル化に舵を切ったものの、規模で劣るオリンパスは徐々に苦しい戦いを強いられた。

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