分厚い研究開発体制、株式市場も高評価 それでも「第二の創業」求められるデンソー

実はQRコードの産みの親
全世界で一気に使われるようになった訳

 日本人選手らの悲喜交々のドラマが繰り広げられた北京五輪が終わって1週間余り。「大会の成功」というメンツを最優先した中国共産党政府の統制なのだろう。この国際イベントの開催をコロナ禍で強行したことへの、市民らの怨嗟の声などは全く漏れ伝わってこなかった。付け加えるなら、そもそもウインタースポーツは、人々の生活水準が広く遍く上昇して初めて社会に「浸透」するホビーである。繁栄から零れ落ちた内陸部の多くの人々からすれば生活とは無縁の、党幹部ら“赤い貴族たち”が楽しむ類のものに過ぎない。いずれにせよ、政治不信の念を一層募らせたことであろうと想像する。

 こんな、屈折した中国民衆の心の底にある“お上不信”の最たるものは、「人民元」に対する信頼の低さだろう。政府として偽札の横行を正せず、国際通貨としての信用度も低いということを知る人々は、米ドルや貴金属への信仰を強めると同時に、日常のおカネのやり取りは、QRコードによる電子決済を多用することで資産を防衛している。QRコードに対する彼らの「信頼」は、次のエピソードからも伺えよう。

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