台頭するインフレ懸念 原油急騰と円安転換がダブルで襲う

急騰する原油市況

 レギュラーガソリンの全国平均店頭価格は3月8日時点で146.1円、15週連続の値上がり、昨年3月9日の146.4円以来の1年ぶりの高値をつけた。昨年1月20日に151.6円と19年6月以来の高値水準を付けた後、コロナウイルスの感染拡大による原油価格暴落を受けて下落し、昨年5月11日に124.8円の安値を付けた。そこから15週続騰、17.1%の上昇になる。個人事業主が多い宅配=インフラを担う軽トラの運ちゃん達には大打撃だ。

 ガソリン価格の値上がりは、ほぼ全量を依存する輸入原油価格が上昇しているためだ。輸入原油のほとんどは中東産原油、うち約4割はサウジ産原油である。価格はドバイ原油とオマーン原油の月間平均市況に調整金を加減し月ごとに決定する仕組みになっている。他の中東産原油価格もこれに追随している。

 原油市況の19年以降の推移を指標油種の米WTIの月平均価格を見ると、19年4月のバレル当たり63.9ドルを高値に需給悪化で暴落、20年4月には16.5ドルにまで急落。昨年4月、ロシアなど非OPEC諸国を加えたOPECプラスは、日量970万バレルの協調減産で合意し、これを契機に市況は回復に転じた。

 欧米の寒波による需要増が加わって昨年12月には47ドル台を回復、今年3月には67ドル台と2年4カ月ぶりの高値を付け、その後も65ドル前後の高値圏にある。市況反発を受けて、協調減産は段階的に緩和され、3月には日量705万バレルの減産としたが、サウジは減産緩和に同意せず、3月も世界需要の約1 %に相当する日量100万バレルの自主減産を実施している。

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