実力では勝負しないのが日本流?! 「引き際の美学」VS「永年勤続表彰」

🔸惜しまれて辞める人が減った
    誰もが地位にしがみつく

 大相撲7月場所に横綱白鵬は出場できるのだろうか。白鵬は昨年3月場所で優勝した。その後、コロナの影響で開催のなかった5月場所は別として7月場所13日目途中休場、9月場所全休、11月場所全休、今年1月場所全休、3月場所3日目途中休場、5月場所も全休である。

 現役横綱ではあるが、すでに横綱審議会から引退勧告に次いで重いとされる「注意」を受け、7月場所に進退を懸ける。優勝場所以降15日間出場したことはなく、衰えは顕著である。すでに36歳。現役を続行して吉葉山の37歳という最高齢横綱記録に並ぶのを目指しているのだろうか。

 アスリートや経営者などの潔い引退劇を「引き際の美学」として称えるのが日本人である。昔話をすれば、横綱の千代の富士は1991年5月場所で「体力と気力の限界」を理由に土俵を去った。前年の11月場所で優勝しており、突然の引退を多くの人が惜しんだものだ。野球の世界では、現ソフトバンク球団会長の王貞治は1980年に30本塁打を記録しながら現役引退した。理由を「王貞治のバッティングができなくなったから」と語っている。

 多くの人が「まだまだやれるだろう!」と思ううちに惜しまれて辞めるというのが「引き際の美学」である。芸能界では、かつて人気絶頂で引退した山口百恵などの引き際も、そんな印象を与えたものだ。

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