急ピッチの利上げが招くハレーション 支持率ジリ貧、振り向けばトランプだけ

賃金上昇率を上回る高インフレ
急ピッチの利上げの観測も

 昨年春からの予期せぬインフレ高進に対し、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月16日ついに利上げに踏み切る。ジェローム・パウエルFRB議長は晩秋までこのインフレは「一時的」とほぼ静観を続けていたが、今年2月の連邦公開市場委員会(FOMC=政策会合)後の記者会見では現在の経済・雇用・物価状況では、「雇用に悪影響を与えずに利上げする余地はかなり大きい」とし、その利上げについては「機敏に」行うとした。

 その背景にあるのはやはり、高インフレが庶民の暮らしに大きくのしかかってきたためだ。40年ぶりの高さとなった2021年のインフレ率は年7 %。これに対し、平均賃上げ率は5 %足らずで物価上昇の2 %㌽分だけ貧しくなったことを意味する。米国民の平均年所得は約5万3000ドル(約600万円)だから、前年と比べ1100ドル(同12万円)分の買い物をあきらめざるを得なくなった計算だ。

 国民の暮らし向きは、すぐさま政権の浮沈に影響する。まして今年は中間選挙の年。政権発足1年目時点の支持率がここ数十年の歴代政権の中で下から2番目へ落ち込んだジョー・バイデン大統領からは11月選挙に間に合うよう、夏までにはインフレ退治の見通しが見えるような政策を求められるのは必至だ。

続きをみるには

残り 5,413字
この記事のみ ¥ 200
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!