国民が抱く安倍・菅政治のわだかまりを 岸田首相は払拭できるのか、そして野党は…

70選挙区以上にも上った激戦区
衝撃の“幹事長”小選挙区での敗退

 2021年秋の政治決戦・衆院選は、自民党が公示前勢力を減らしながらも、単独で絶対安定多数を確保、発足したばかりの岸田政権の継続が決まった。岸田文雄首相は「国民の信任を受けた」と胸を張るものの、一皮むけばこれまで以上に各地で接戦を強いられ、甘利明幹事長が選挙区で敗北するなど、現職閣僚や閣僚経験者のベテラン組の不振が際立った。

 特に政権を支える「3A」の一角の甘利幹事長が就任わずか1カ月余りで辞任したのは大きな痛手。しかも、茂木敏充外相の幹事長起用に伴う後任外相人事を巡っては、名実ともに最大派閥を率いることになった安倍晋三元首相が不満を抱いているとされ、不協和音も聞こえる。絶対安定多数が基盤の強化につながったとは言い難いのも内実だ。

 一方、210以上の選挙区で日本維新の会を除く5党で候補者を一本化した野党勢は、立憲民主党が惨敗を喫し、創立者の枝野幸男代表が辞任に追い込まれた。選挙後の世論調査では、政党支持率が維新に野党第1党の座を奪われ、半ば放心状態。与野党悲喜こもごもの選挙戦を振り返りながら、今後を占う。

 「大変厳しい選挙だったが、引き続き岸田政権の下で、この国の未来を作り上げて欲しいという民意が示された。立憲民主党や共産党が候補者を一本化して臨んだが、自公政権に強い支持をいただいた」と、投票日翌日の11月1日、岸田首相は安堵の表情を浮かべた。

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