歴史的敗北か通常の敗北か 民主党を待ち受ける中間選挙 司法への信頼もがた落ち 民主主義が揺らいでいる

中絶の可否権限付与は共和党に逆風も
歴史的大敗が通常の敗北になるだけ

 ジョー・バイデン米大統領(民主党)の任期前半2年間の政権運営の審判となる中間選挙が11月8日実施される。連邦議会下院の全435議席、同上院の定数約3分の1の35議席に加え、州レベルの首長や要職、議員らも選任する。中間選挙は政権党に厳しい結果となる傾向があることに加え、昨年来続くインフレが40年ぶりの高率に高止まる一方、昨夏のアフガニスタン撤兵での大失態もあり、一時は連邦上下両院での過半数を、共に失う民主党の大敗となるとの見方が圧倒的だった。

 しかし、6月下旬にドナルド・トランプ前大統領(共和党)が任期中に指名した3人の判事で保守色を非常に強めた最高裁判所が、50年前の妊娠中絶の憲法保証を与えた「ロー対ウエード」判決を覆し、州レベルに中絶の可否権限を与えたことが、民主党に巻き返しのチャンスを提供。一時は30%台と戦後大統領としては最低レベルに落ち込んでいたバイデンの支持率も42%前後まで回復、物価高騰の象徴でもあったガソリン価格も値下がりするなどの追い風も吹いた。

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