なるほど強みはこういうことだったのか 世界の空調機業界を牽引するダイキン工業

コロナも何のその、過去最高の業績見通し
株価が示す投資家たちの期待度

 ダイキン工業の「安定感」が、改めて産業界の注目を浴びている。2021年11月4日に発表した21年4~9月期の中間連結決算で、売上高は前年同期比26.8%増の1兆5588億円、本業の儲けを示す営業利益は同46.4%増の1927億円、純利益も同64.4%増の1390億円と、いずれにおいても2ケタの伸びを叩き出した。コロナ禍で営業活動等に様々な制約が加わったのをものともせず、換気しながら冷暖房できる空調機や、ウイルスや菌を抑制する空気清浄機などの高機能製品の売上が世界各極で伸張した。

 新型コロナウイルスが主にエアロゾル(マイクロ飛沫)によって感染するとの知見が集まり、「空気」を制御することへの世界的な関心がかつてなく高まって以降、空調機業界の世界的なリーディングカンパニーであるダイキンの経営が好調なのは当然だろうと捉える向きもあるかも知れない。しかし、実態はもう少し複雑だ。

 新型コロナウイルスのパンデミックを受け、半導体を筆頭格とする様々な産業物資のサプライチェーンが、ズタズタになった混乱は21年に入っても収まるどころか振れ幅を増し、「カンバン方式」を誇るトヨタ自動車でさえ半導体不足によって減産や工場の操業停止を強いられている。そうした中でダイキンは、サプライチェーンの強靭化と再構築に、いの一番に取り組み、原材料の供給不安を見事に克服し、同業のライバルが減産等に追い込まれるのを横目に、市場シェアを拡大することに成功した。

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