🚿水道水でガラス膜コーティング 世界展開する環境技術ベンチャー ─システムブレイン─

自動車を保護するコーティング技術
シリカ成分がガラス層を形成

 自動車のボディを保護するにはコーティング技術が利用されている。その中ではガラス質のシールド膜で被う方法が優れているとされ、月に1〜2度程度の洗車だけで新車のような輝きを維持できる。

 ただ、ガラス層の厚さがポイントで、厚いと破損しやすくなる。薄く、かつ耐久性のある皮膜をつくるのが「ナノシャイン」というコーティング技術である。

 独自開発したセラミック内蔵装置に水道水を通過させると、ナノ素材のシリカ系分子が水に溶け出す。シリカは、ケイ酸とも呼ばれる二酸化ケイ素のことである。無色透明で、工業的には研磨剤、表面処理剤などさまざまな用途に使われている。

 そのシリカ分子が溶け出した水を車体に散布することによってボディ面にシリカ層を浸透させ、ナノメートルレベルのごく薄いガラス系皮膜を形成するのだ。システムブレイン(東京都新宿区、資本金1億2680万円、従業員12
名)という環境技術系ベンチャーが開発した。

 同社を創業した神田智一は1966年生まれ。大日本印刷の生産技術部門で設計製作に携わった後、松下電器(現パナソニック)系商社に移ると、分社化によって環境システムを手がける部門の役員となる。ここで手がけたのがコーティングの技術である。

 神田は、「工場設備の配水管内部の汚れを防ぐためにガラス質の皮膜を施すと配管がきれいに維持できるコーティング技術を開発して2007年に特許を取得しました。もともと自動車が好きだったので、この技術をカーコーティングにも応用することを発想したんです」と振り返っている。自身で省エネ機器やLED関係など特許を多数保有し、特許ビジネスに精通していた神田は、開発のメドが立った2008年に同社を創業し、社長に就任した。

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