景気回復の鍵を握る消費行動 不況下の日経平均上昇は何を意味する

悪化続ける足元の経済指標

 景気指標に好悪2面が見られ、景気の先行き判断が揺れている。消費関連指標は、立ち直りの気配から再び急速に悪化。一方、株式市場は日銀による官制相場も相まって、騰勢を強め、景気の先行きの明るさを強めているようにも見える。コロナ感染拡大にも歯止めがかかり、緊急事態宣言の全面解除も近いような感じにあり、ワクチン投与も2月中旬には開始された。

 もっとも、発表が一巡した12月の経済指標の多くが11月からの悪化基調を伝える。 思い返そう。昨年4月の緊急事態宣言による感染抑制策が奏功し、緊急事態宣言は5月下旬には全面解除となった。さらにGoToキャンペーン効果で、景気指標は7月以降に急回復をみせた。消費活動の代表的指標である小売業販売額をみると、4~6月期は前期比▲7.5%だったが、7~9月期は8.4%増と回復を見せていた。しかし、気の緩みから昨年秋以降、感染者の急拡大が始まり、抑制策強化が経済活動に大きな影響を与えている。既に消費回復の動きは昨年秋には頭打ちとなり、小売業販売額は季調済前月比で11月から減少に転じた。10~12月期は前期比0.2%の微増に止まった。

 21年に入ると感染者増は一段加速、政府は1月7日に首都圏・近畿圏を中心に11都府県を対象にした第2次緊急事態宣言を発動した。これが1月の経済活動の悪化をもたらした。特に消費規模の大きい地域での行動規制は大きな打撃を与えており、大手百貨店6社の1月の販売額は軒並み前年比3割前後の減少と沈んだ。2月下旬以降に発表が始まる1月の消費関連指標も厳しいものとなろう。

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