フクシマ復興 ようやく始まる 記憶は未来に引き継がれるか

自然災害と人災、取り残されたフクシマ

 戦後最悪の災害となった東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年。2万2000人を超える死者・行方不明者を出し、いまなお全国で4万人以上が避難生活を送る。復興はどこまで進み、どのような未来を描くのか。巨大災害がもたらした教訓をどう生かすのか。

 重要なのは、2つの災害の違いだ。大震災は紛れもなく「自然災害」である。しかし、福島第1原発事故については、第3者機関の国会事故調査委員会が2012年7月に「人災」と結論づけた。フクシマは史上空前の2つの大災害を被ったのだ。フクシマの復興の道のりが一段と険しく、長期にわたるのは自明だ。事故を起こした原子炉の廃炉まで、作業はなお30~40年に渡って続くとされる。

 経済産業省は、福島第1の廃炉を「東京電力が責任を持って進め、国も前面に立って取り組む」と公表した。この世界に前例のない廃炉・汚染水対策の傍ら、浜通り地域で新たな産業基盤の構築を目指す「福島イノベーション・コースト構想」の取り組みが進む。

 福島第1原発が立地する、最も重大な打撃を被った双葉、大熊の両町と、近辺の浪江町、南相馬市(図1)。筆者は3月下旬、この地を訪れ、復興の現状と新産業計画の進行状況を取材した。以下はその現地報告である。

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