足りないのは看護師だけじゃない 一体この国は検証と、反省をしてきたのか

🔸病床数を減らしてきた日本
    コロナ後はどうするのか?


 新型コロナウイルス感染拡大で問題となったのが病床数の逼迫だ。急増する感染者、特に対応に手間のかかる重症者に対して病床の数が足りない。そのため、入院できずに自宅療養する患者が万単位で現れ、待機している間に死亡してしまう患者もいる。

 「病床数を増やせ」という要請に対し、簡単に病床を増やせない事情を医療関係者は、こう説明したものだ。「ベッドの数だけ増やしても、対応できる専門的知識・技能を持ったスタッフがいなければコロナ対応病床は増やせない」と。こうした説明は、当初はなかなか理解されなかった。だが、重症者には数人のスタッフで対応しなければならない事情が次第に理解されるようになった。

 もともと日本は世界の国々に比べて病床数は多かった。ただ、医療提供体制という観点から見ると、充実していたわけではない。古いデータになるが、コロナ禍の前の日本は病床の数が多い割に、医師や看護師の数は諸外国に比べて脆弱だった事情がわかる(表1)。

キャプチャ1

 その代わり、入院日数は世界の国々より平均して極めて長い。病床数が多ければ、病院は経営的観点から病床稼働率を高める必要が生じるため、患者には長く入院してもらわねばならないからだろう。言い方は悪いが、患者はあまりいいケアを受けずに長く入院させられるのが日本という国なのである。

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