ドイツの次期首相は メルケルのクローン? 連立の組み方でも変わる、 ドイツ総選挙はどうなった

敵失だけではない、評価高まる
SPDショルツ党首の手堅い政治手腕

 「ポスト・メルケル」を争うドイツ連邦議会選挙(総選挙)が、いよいよ9月26日、決戦の時を迎えた。原稿締め切り上、確定情報はお伝え出来ないが、これまで、メルケル率いる保守系与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と、急伸した「緑の党」との狭間で、存在感を発揮できずにいた中道左派の社会民主党(SPD)が、土壇場に来て急速に支持率を伸ばしている。

 潮目が変わったのが、先月号でも伝えたドイツ西部での大洪水におけるラシェットCDU党首の失態だ。ラシェットは、自身の地元であり州首相を務めるノルトライン=ヴェストファーレン州の被災地を視察した際、周囲と談笑する姿が報じられ、危機対応での脇の甘さから次期連邦首相候補としての資質に強い疑問が投げ掛けられるようになった。その結果、CDU・CSUへの支持率は急減し、「エコノミスト」誌の議席獲得予測(9月12日時点)では、首位がSPDで約28%、第2位はCDU・CSUの約23%、第3位は「緑の党」の約17%と、CDU・CSUはトップを明け渡す事態となった。また、「緑の党」についても、ベーアボック共同党首の指導力に対する懸念が拭い切れず、一連の疑惑・不祥事等もあって支持率は伸び悩んでいる。結果的に、SPDは敵失で支持を集める格好となった。

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