思いつき、場当たり政策は当たり前 突貫工事「みどりの食料システム戦略」の波紋

現状も、現場もあまりに知らない
できないことを平然と言ってのける

 思い付き、場当たり政策で各分野に混乱の種をまき続けてきた菅政権が、農業分野でもやらかした。まるで突貫工事のような戦略が大きな波紋を広げているのが、5月に正式決定した「みどりの食料システム戦略」である。「農林水産分野でのCO2・化学農薬・化学肥料削減、有機農業の推進」と、謳い文句は立派だ。しかし、自民党政権が企業化・大規模化を旗印に進めてきた「過去・現在」の農政と、環境にやさしい「未来」を描いた「みど
りの戦略」との間には、「深くて広い谷」がある。

 何よりも新方針には、有機農業や農薬規制などで「後進国」と言われる現状認識と、実現可能性への十分な検討が欠如しているからだ。「実態とあまりにも乖離した絵空事」と、農業関係者からは、強い批判が高まっている。

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