未曽有の経済危機と行政改革の狭間で自分流にこだわって墜落した橋本龍太郎

衆院選を乗り切り、次の参院選で
過半数割れとなったのは橋本だけ

 昨年10月に就任27日後の衆院選で続投を果たした岸田文雄首相は、今年7月に次の関門の参院選を迎える。焦点は与党過半数確保の成否である。現在、参議院での与党の合計議席は138(改選71、非改選67)だが、参院選後の過半数125(総議席248)の確保には58以上の当選者が必要だ。現有より14以上減らせば、過半数割れで衆参ねじれとなる。

 自民党結党後、1989年(宇野宗佑内閣)、98年(橋本龍太郎内閣)、2007年(第1次安倍晋三内閣)、10年(菅直人内閣)の4例があるが、首相として衆院選を乗り切り、次の参院選でねじれとなったのは橋本だけだ。

 橋本は96年1月、自民党・社会党・新党さきがけ3党連立の村山富市首相(当時は社会党委員長)の後任として登場した。就任8カ月後の9月、衆議院を解散した。

 小選挙区・比例代表並立制導入後の最初の衆院選で、小沢一郎党首(後に民主党代表)の新進党と政権を争い、与党で過半数を維持して続投を果たした。ところが、98年7月の参院選で、自民党は改選126のうち44議席しか獲得できず、過半数を23も下回った。惨敗した橋本は投票日の18日後、政権の座を降りた。23年後、就任直後の衆院選で自民党の絶対安定多数確保を果たした岸田首相も、8カ月後の参院選で、もし与党過半数割れとなれば、同じく即アウトだろう。

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