国道も鉄道も水道もない町で人口が増えた町おこしは「映え」から始まった!~北海道東川町~

何もないけど美しい、町民の約半分が移住者
きっかけは「写真甲子園」

 急速な過疎化に悩む北海道で、人口増に転じた自治体がある。政令指定都市の札幌市の話ではない。北海道のほぼ中心部に位置し、人口30万人を擁する旭川市のベッドタウンでもある東川町だ。「北海道にありながら『国道』『鉄道』『上水路』の3つの道がない」という自虐的なセールスポイントを掲げる同町が人口増に転じたのかは「芸術」を駆使したブランド戦略があった。

 美しい町だ。町の東部は国内最大の山岳公園「大雪山国立公園」で、北海道最高峰・旭岳の雄姿が眼前に迫る。豊かな自然環境は道内屈指の観光資源として国内外から観光客を集めている。半面、町の総面積のおよそ7割は森林で、かつては人口減少に悩まされていた。1995年には7211人まで減少した。

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