世界経済見通しで格差が如実 ワクチン戦略が経済回復を決める

IMF予想は世界経済成長6.0%へ上方修正

 世界経済は、新型コロナウイルス感染問題に手間取ってはいるが、回復の足取りをみせている。IMFの集計では20年の世界経済は▲3.3%と金融危機時の09年の▲0.5%を大きく下回る落ち込みだった。現統計で遡及可能な80年以降では最悪だった。それでも昨年10月時点では▲4.4%と見込んでいたのに比べて落ち込みは縮小した。理由は新型コロナの流行に対して主要各国が、異例の政策対応を実行した効果が下半期に入って効いてきたからだ。早期にコロナ抑制に成功した中国が下半期には回復に転じ、年間でも2.3%のプラス成長を確保したことが象徴的だ。

 さらに今年に入ってからは米国の1.9兆ドルに上る大型財政パッケージが追加され、コロナ禍脱出の切り札ワクチン接種も先進国から新興国に拡大する動きが始まっている。IMFは変異株の広がりなど環境の不確実性は残るとはしながらも、出口が明確に視界に入ってきたと見ており、4月6日、21年、22年の世界経済見通しを上方修正した。

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