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豹変したFRB議長
「3つのP」の落とし穴

 長き「デフレ」の時代がついに終わりを迎え、再びインフレの時代がやって来た。転換宣言を発したのはパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長である。しかし、とっくにインフレ新時代に突入していた。2021年6月の米国の消費者物価指数は前年比4.5%。FRBが管理目標とする2 %の2倍に跳ね上がっていた。「非常に、非常にインフレ・リスクを警戒せねばならない」。IMFは金切り声を上げていた。

 ところが当初、パウエル議長は冷ややかだった。11月中旬まで「今のインフレはあくまで一時現象」と言い張っていたのである。新型コロナで抑制されていた需要が噴き出し、需給バランスが一時的に崩れただけ。港湾の混乱も半導体不足も、生産活動が旧に復すれば、インフレはかき消える──。FRBだけではない。ECB(欧州中央銀行)もBIS(国際決済銀行)も、声を揃えて「3つのP」を持ち出した。曰く「価格決定力(pricing power)が発揮され、生産性(prodeuctivity)、労働参加率(participation)が高まれば、価格─賃金のインフレ・スパイラルは鎮圧できるだろう」(フィナンシャルタイムズ=FT紙11月19日付)。

 ところが、バイデン大統領から2期目の指名を受けた途端、パウエル議長は手のひらを返した。議会証言で「インフレは一時的」という文句をさっさと撤回し、「テーパリング(国債購入の規模縮小)を前倒しせねばならない」と言い切ったのだ。目下のインフレは全力で討伐せねばならない「真性インフレ」と断定したのだ。

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