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大統領選に向け深まる「分断」ウクライナ支援でも対立激化


解任劇が示す政治の機能不全
本当の勝利者はロシアと中国

 米国政治の混乱はドナルド・トランプ前大統領の登場以来、見慣れた光景ではあるが、最近の米連邦議会の混迷ぶりは目も当てられないほどのひどさだ。

 米議会では10月から始まる2024会計年度の予算案をめぐる審議が行き詰まり、政府機能が一部停止する寸前で何とか11月中旬までの「つなぎ予算」が成立。その3日後の10月3日、下院は野党・共和党トップのケビン・マッカーシー議長の解任動議を与野党の賛成多数で可決した。米国で下院議長の解任動議が可決されるのは史上初のことだ。

 しかも解任動議は同じ共和党の保守強硬派の1人(マット・ゲーツ氏)が提出したものだった。つまりは造反だ。採決結果は賛成216、反対210、欠席7。与党・民主議員に加え、8人の共和議員が賛成に回った。共和の保守強硬派は「つなぎ予算」を巡って要求した歳出削減などが受け入れられず、マッカーシー氏が民主党と協力したことを問題視した。

 この議会の混乱を厳しく批判するのが、米ニュースメディアのザ・メッセンジャーが掲載した「マッカーシー氏の歴史的な解任は米国の統治体制がいかに壊れているかを敵対国に示すもの(McCarthy’s Historic Fall Shows Our Adversaries How Broken Our Government Is)」(10月7日付)だ。

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