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第9条・53条・89条など 憲法の「不備・欠陥」が問題に実情・実態との齟齬をどうするか


憲法の不備・欠陥を利用した自民党
臨時国会召集の要求もたなざらし

 9月12日、憲法に関わる訴訟で、最高裁判所が注目すべき判断を下した。

 問題となったのは、安倍晋三内閣時代の2017年6月22日に野党議員が行った臨時国会召集の要求に関する事例である。当時、安倍首相は森友学園などの問題を抱えていて、野党側はその点を審議するために臨時国会開会を求めた。安倍内閣は98日後の9月28日まで国会召集の要求をたなざらしにしただけでなく、臨時国会を開いた日に衆議院を解散して衆院選を実施した。

 憲法は第53条で、国会議員による臨時国会召集の要求について、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定している。だが、いつまでに、という召集の期日に関する条項がない。

 条件を満たした要求があった場合、内閣は召集の義務があるが、いつ召集するかは内閣の裁量に任されている。国会法も、第3条で「臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議員の総議員の四分の一以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない」と定めているだけだ。

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