ウクライナ侵攻で明らかになったインドとロシアの「深い関係」

緊密な軍事協力、ロシアに「NO」と言えない

 ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が始まった翌日、国連安保理はロシア非難決議案の採択を行った。当事国であり、常任理事国でもあるロシアは当然拒否権を行使。これによって決議案は不採択となった。アメリカの一極支配に異議を唱え、ロシアとも近い関係にある中国は棄権した。ここまでは織り込み済みだった。この他に、棄権にまわった国が2つあった。非常任理事国のインドとアラブ首長国連邦(UAE)だ。「世界最大の民主主義国」を自認し、近年では「クアッド」や「自由で開かれたインド太平洋」構想を通じて日本やアメリカとの関係強化が顕著なインドが、ロシアの軍事侵攻を非難しなかったことに対し、国際社会の間で驚きが広がった。だが、インド外交をフォローしている立場から言えば、この動きは決して特別なものではない。その是非は別にして、ある意味「至極当然」だ。

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