「何もない」えりもで「忘れられた最高の鮭」ブランド化して町をおこす!日高定置網漁業組合の挑戦

「襟裳の春は何もない春です」の歌のまま
漁業があるじゃないか、本州とどこが違う

 「石油の高騰で出漁しても赤字だ」。こんな嘆き節が、全国の漁業従事者から聞こえている。安価な輸入魚との競争に晒され、大手スーパーや全国チェーンの外食産業から安く買い叩かれる中小漁業従事者は「存亡の危機」に立っている。そんな逆風下でも成長を続けている漁業の町が北海道にある。その「復活のカギ」は、漁業の復権による町おこしだ。

 「襟裳の春は何もない春です」。名曲「襟裳岬」のサビの歌詞は、まさにその通りである。ただ、豊かな水産資源を除いては。だが、かつては地元を大いに富み栄えさせた水産業も、すっかり衰えてしまった。それに伴い、漁業に支えられてきた地域経済も衰退。襟裳岬を含む北海道東南部の日高振興局管内の人口は1960年の12万3095人から2020年には6万3272人と半分近くにまで激減している。

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