市場で焦点の日銀総裁後任人事 来年も金融政策正常化は困難か

金融政策の効果と限界を示した黒田政策
成長戦略の重要性を肝に銘じていたか

 昨今の金融市場の関心事の1つが日本銀行総裁の後任人事である。「異次元金融緩和」を続けてきた黒田東彦総裁は2023年4月8日に2期目の任期満了を迎える。日銀総裁は国会の同意を得て内閣が任命する。

 有力候補は日銀生え抜きの2人。1人は、現副総裁で黒田総裁の右腕として長く政策立案に携わってきた雨宮正桂氏。もう1人は、黒田総裁の1期目に副総裁として政策立案を補佐した中曽宏氏(現・大和総研理事長)である。市場では、雨宮氏は黒田総裁に考え方が近い一方、中曽氏は相対的にタカ派(金融正常化に前向き)と見られている。

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