これまではうまく行ったプーチン戦争対策だが、米国の本当の敵は中国になる

相変わらずの失言癖も
プーチン戦争対策は高評価

 ロシアのウクライナ侵攻への対応は、ジョー・バイデンにとり大統領1期目の最大の正念場となった。失言癖のあるバイデンが今回も口を滑らせウラジーミル・プーチンは「権力の座に居座ることは許されない」と政権転覆が米国の対ロ政策の最終目的と解釈され、最も避けなければならない両国の軍事衝突さえ惹き起こしかねない発言をし、周囲がその火消しに大わらわになったことを除けば、バイデン政権の対応はこれまでのところ及第点といっていいだろう。前任のドナルド・トランプが「過去の遺物」と酷評して関係が冷え切っていたNATO(北大西洋条約機構)の欧州同盟諸国と、緊密な連携でウクライナの軍事支援を展開する一方、ロシア経済の生命線である原油・天然ガス輸出と、金融に対し厳しい制裁を科した。エコノミスト誌の「米国のウクライナ支援は大成功も、なお難局続く(For all America’s success in helping Ukraine, hard times lie ahead)」(3月26日号)は、米国の一連の
動きは「創意工夫と明敏さにあふれ、揺るぎない決意で」NATO諸国を牽引し、「プーチンを混乱に陥れた」と称賛した。

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