成長を取り戻すための処方箋(中) 新説「公共貨幣理論」

揺らぐ資本主義制度、経済学は信用できない

 経済政策の拠って立つ経済学は、成立してわずか200年ほどしか経っていない。アダム・スミスが『国富論』を著した1776年まで「経済学」はまだどこにも存在しなかった。以後、様々な経済学が世界史の激流の中で浮かんでは沈んだ。スミスの自由主義経済学から発した市場の自動均衡理論は、資本主義経済の支柱となったが、1929年に世界大恐慌が起きるとたちまち信頼を失った。そして今再び資本主義は、格差を拡大させる制度として国際的批判に晒されている。資本主義のアンチテーゼとして現れたマルクス主義。その経済哲学に沿った中央政府による計画経済は、先駆者のソ連邦で硬直化し、1991年に滅亡した。

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