【コングロマリットは是か非か】平成後期から令和に亘る長い企業構造改革ポスト・ガスタービン「脱炭素」に臨む三菱重工業はきっと変わる

「三菱重工の使命は国家なり」
今は「機械のデパート」とも称される

 ロシアによるウクライナ侵略戦争は、世界有数の資源大国を、瞬く間に政治的にも経済的にも孤立へと追い込んだ。中国やインドなどを除くほぼ全ての国連加盟国がロシアの言動を激しく批判したが、各国政府の背中を強く押したのは安全保障体制への懸念というより、SNSを介して瞬時に世界中の人々の手元に届けられた、戦場の悲惨さと不条理を伝える情報の力であった。

 こうしたスマホ時代の戦争には、言うまでもなく企業活動も深く組み込まれている。経営判断を誤れば、まさにロシアという国と同様、せっかく築いた市場やブランドを失ってしまう恐れがある。

 欧米のファストファッション大手が次々とロシアから引き揚げるのを横目に、「ロシア国民のために『ユニクロ』を続ける」と“逆張り”の意向を示したファーストリテイリングが典型だろう。案の定SNSで叩かれ、結局は「ZARA」を展開するスペインのインディテックスやスウェーデンのエイチ・アンド・エムなどと同じ歩調を取らざるを得なくなった。トップの情勢判断ミスである。このケースはまだ穏やかな方で、世の声を読み違えると、深刻な経営危機や倒産にすら直面しかねない。

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