欧州の新安全保障体制構築へと重点移るも 合意内容巡りウクライナを挟む危険なチキン・ゲーム

露の最大課題は「NATOの東方拡大阻止」
戦争を煽る異常な発言や報道も

 昨年末に始まったロシアと欧米の対立は、ウクライナを巡る勢力圏争いから、欧州の将来を決める新安全保障体制構築へと重点が移った。各国首脳は、欧州各地を飛びまわり、国益重視の外交駆け引きに必死である。その一方で、戦争開始を望むような異常な発言や報道も飛び交っている。前途多難である。

 米露の戦略的対話は、昨年12月7日、プーチン露大統領が、バイデン米大統領との電話会談で、「欧州安保合意」の交渉を持ちかけたことに始まる。

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